オセロの盤面と石を使った1vs1の対戦ボードゲーム『Pastoral Square』のルール解説です。
たしか2年前くらいには完成していたんですが、機会がなかったので公開とかはしていませんでした。今はGWで激暇なので書いてます。
経緯としては3,4年前くらいに、気が狂った人が入る病棟の中で更に退屈によって狂っていた私が同時期に入院していた大学生と共に考案したものが原型で、当初と比べるとだいぶルールが複雑になり、というかルール自体を把握するだけでも軽い知能テストみたいな感じになってしまった。
ルルブ的なものは2年前に制作したpdfが残っていて、それをベースに記事を書いています。
導入
『Pastoral Square』(パストラル・スクエア)の基本は、オセロの盤面と石を用いた三目並べです。盤上の中央には正方形の領域(=コラール、corral)が設定されており、プレイヤーはコラールに自分の石(牛)を置いてタテ・ヨコ・ナナメのいずれか一直線に3つ揃えることを目指します。
コラール内には地域格差があり、中央ほど芝が美味く、外側はそうでもないんですよね。それに従ってコラールの各マスにはそれぞれ異なる数値が設定されており(図1)、当該マスにその値と同数の石を置く(=プレイス)することで自分のマスにできます。
しかし、ただ一直線の3マスを自分のものとしただけでは勝利とはならず、その3マスに積まれた石の数を揃えるために石を重ねる(=スタック)する必要があります。コラールのマスに対するアクションは以上の二つ、プレイスとスタックです。
ところで、石が次々と置かれる一方であれば有利なマスを早期に占有できれば勝ち、つまり先手必勝になってしまい、展開もワンパターン化します。そこで、コラール外の領域(=キャトエリア、図2)のマスに一定の法則に従って石を配置することで、コラールの相手の石を除去することができます。これがキャトルミューティレーションです。
コラールで早く石を置くことに集中していると呆気なくキャトられ、またキャトることに躍起になると気付けばコラールでリーチをかけられている……という事態に陥らぬよう、コラールとキャトエリアの両方を、盤面を広く見て相手のアクションを警戒し、更には石の数の変動にも気を配りながら先の手を予測していくのが、勝利への鍵となるでしょう。
真面目に考えながらプレイすると決着まで1~2時間ほどかかります。
ゲームの進行
準備
- 1対1で向き合ってプレイする
- 石を32個ずつに分け、お互いの手元(盤の外)に置く:この石をそれぞれのプレイヤーの在庫と呼ぶ
- 先攻、後攻のプレイヤーを決める
- 先攻と後攻のどちらが白か黒かは先攻が自由に決める
手順
- 手番が回ってきたプレイヤーはまず、在庫から石を基本的には2個取る:これを「ピックアップする」という
- ピックアップした石は自分のアクションに使えるようになる。自分のアクションに使える石を持ち石という
- 持ち石の上限は5個である(同時に5個までしか持つことができない)ため、ピックアップする個数は手番が回ってきた時点での持ち石の個数に基づいて規定されている
- 手番が回ってきた時点で持ち石が3個以下だった場合、在庫から必ず2個取らねばならない(ゲーム開始直後はこれ)
- 手番が回ってきた時点で持ち石が4個だった場合、在庫から必ず1個取らねばならない
- 手番が回ってきた時点で持ち石が5個だった場合、在庫から石を取らない
- 上記の各場合において、在庫の石が不足しているために規定された個数の石を取ることができなかった場合、敗北となる(勝利条件を参照)
- ピックアップした石は、盤上のコラールでもキャトエリアでもない2×2の領域4箇所のうち、利き手に最も近い領域に置く:この領域を持ち石エリアと呼ぶ
- 持ち石はカードゲームでいうところの手札だが、石は手の中に持つと相手からいくつ持っているか見えないため、常に持ち石エリアに置いて数が相手にも分かるようにする
- 以上まで完了したら、手番のプレイヤーは次に示すアクションのうちどれか1つを1回だけ、それぞれの発動条件を満たしていれば行うことができる(各アクションの詳細はアクションの項目で詳述)
- セーブ:持ち石を使わずに貯める
- コラールへのプレイス:持ち石を配置しマスを自分のものにする
- コラールへのスタック:自分のマスに置いてある石に更に石を重ねる
- キャトエリアへのプレイス、スタック:キャトリーチをかけたりキャトルミューティレーションを発動させたりする
- アクションが完了したらターンが終了し、相手の手番に移行する
勝利条件
二つある勝利条件のうち、どちらかを満たせば勝利:
- ビンゴ勝利:相手より先に、タテ・ヨコ・ナナメのいずれか一直線の3つのコラールのマスに、自分の石を各マス同数ずつ置く(=ビンゴする)と自分の勝利
- 同数ずつ置かれている必要があるため、どのマスを使ったビンゴであっても、プレイスだけでなくスタックのアクションが一度は必要
- 一直線に揃えるマスは全てコラールのマスである必要があることに注意(キャトエリアや持ち石エリアはビンゴのためのマスとして使えない)
- 相手のピックアップルール違反:相手の手番開始時に相手が持ち石に対して規定の個数のピックアップを行えなかった時点で自分の勝利
- ピックアップルール違反の例は以下のようなケース。これらの場合、ピックアップに失敗したプレイヤーが敗北、相手のプレイヤーの勝利となる
- 手番開始時の持ち石が2個なので、「手番が回ってきた時点で持ち石が3個以下だった場合、在庫から必ず2個取らねばならない」に従い在庫から2個取らねばならないが、在庫に石が1個しかない
- 手番開始時の持ち石が4個なので、「手番が回ってきた時点で持ち石が4個だった場合、在庫から必ず1個取らねばならない」に従い在庫から1個取らねばならないが、在庫に石が1個もない
- ピックアップルール違反の例は以下のようなケース。これらの場合、ピックアップに失敗したプレイヤーが敗北、相手のプレイヤーの勝利となる
アクション
※詳述のために箇条書きを入れ子構造にしていますが、強調のためのくどい説明や場面の例示が多いので、小さい項目は最初は読み飛ばしても構いません
「なにもしない」アクション
セーブ
- 簡単に言えば持ち石の温存
- 次の手番で3個以上の石を使ったアクションを目論んでいるときや、相手の出方を見るために持ち石に余裕を持っておきたいときなどに行う
- 実質的には「何もしない」というアクションであるため、セーブを行う際は「セーブ」「セーブします」「貯めます」と言うなどしてセーブする意思を相手にはっきり伝える
コラールに対するアクション
プレイス
- コラールの何も置かれていないマスに石を置き、置いたマスを自分のものにするアクション
- プレイスされたマスはプレイスしたプレイヤーの所有するマスとなり、相手がそこにスタックすることはできない
- コラールの各マスに設定された値(図1参照)と全く同じ数の石を一度に置くことでしかマスは確保できない
- 値4のマス(図1で赤色のマス)を確保するには石が4個ぴったり必要で、3個以下の石、あるいは5個の石で確保することはできない
- 持ち石を4個以上にするためにはセーブのアクションが必要となってくる
- たとえばゲーム開始直後のピックアップでは持ち石が2個になるので、ゲーム開始直後のアクションでは値2のマス(図1で黄色のマス)だけにプレイスできる
- キャトルミューティレーションが発動した直後の手番で、キャトられた側のプレイヤーはキャトられたマスに即座にプレイスすることはできない(後述)
スタック
- コラールの自分の石が既に置かれているマスに石を重ねるアクション
- マスの値2, 3, 4を問わず、コラールの各マスで積まれる石の合計の数の上限は一律で5個である
- これはスタックできる合計個数の上限ではなく、コラールの1つのマスに同時に置かれている石の合計の数の上限である
- 値4のマスにプレイスした場合、以降そのマスに対して行えるスタックは1回のみで、そのとき石は1個しか積めない
- マスに置かれる合計の石の数の上限5を超えない限り、1つのマスに対するスタックの回数、また1回のスタックの石の数の制限はない
- 値2のマスにプレイスしてからそのマスの石の数を5個にしたい場合、1回に1個だけ積むスタックを3回の手番に分けて行ってもよいし、1回のスタックで一気に3個積んでもよい
- プレイスしたら絶対にそのマスにスタックしなければいけないわけではないが、ビンゴ勝利のためには確実に1回以上のスタックが必要である
- 値2, 3, 3の3マスでビンゴを目指す場合、少なくとも値2のマスに1個スタックして、3つのマスにある石の個数を全て3個ずつにする必要がある
- 値3, 4, 3の3マス(ナナメ)でビンゴを目指す場合、少なくとも値3の2マスに1個ずつスタックして、3つのマスにある石の個数を全て4個ずつにする必要がある
- コラールのマスに積まれる石の数の上限は5個なので、どの値のマスであっても全てに5個ずつ積まれた状態までスタックしてビンゴすることも可能
- このように、ビンゴに必要な石の数は最低で9個(値2, 3, 3のマスで値2のマスに1個スタック)、最大で15個(3つのマス全てに5個ずつ積まれた状態)となる
キャトエリアに対するアクション
まずキャトルミューティレーションの仕様、その発動条件、発動後の処理、およびキャトエリアのマスの規定について解説する。その次にキャトエリアに対するアクションにかかる具体的な制約(どんな条件であればアクションできるのか)を解説する。
キャトルミューティレーション
概要
アクションとしてのキャトリーチ、キャトルミューティレーションについて解説する前に、キャトルミューティレーションの仕様を解説する
- コラールのマスに置かれている相手の石を除去し、相手のビンゴを阻害したり自分のビンゴのためのマスを確保したりするために行うのがキャトルミューティレーション
- キャトルミューティレーションを発動させることを「キャトる」という
- キャトエリアのマスに対するプレイスやスタックにより発動する
- キャトルミューティレーションによってコラールの石がキャトられるとき、同時にそのキャトルミューティレーションを成立させたキャトエリアのマスの石も取り除かれる。このとき、それらの石は一定の規則に従い各プレイヤーの在庫、場合によっては持ち石にも分配される(後述)
- キャトルミューティレーションが発動した直後の手番で、キャトられた側のプレイヤーはキャトられたマスに即座にプレイスすることはできない。これによりキャトったプレイヤーがそのマスを奪還しやすくなり、これこそがキャトルミューティレーションというルールの狙いである
- キャトルミューティレーションが発動し相手のコラールのマスの石が除去されるには、盤上の4つのマスの位置関係と、それぞれのマスに積まれた石の数、そして発動に関するアクションのタイミングが、以下のキャトルミューティレーション発動条件を満たしている必要がある
- キャトルミューティレーションの発動には以下の4マス(発動関与4マス)が空間上必要である
- コラールの相手の石の置かれているマスA
- キャトエリアの自分の石が置かれている2マスB,C
- 持ち石エリアの任意の1マスD
- 発動関与4マスが、各マスを頂点とした正方形を形作る必要がある
- 発動関与4マスのうちA,B,Cに積まれた石の数は、以下の式を満たす必要がある
- Aに積まれた石の数=Bに積まれた石の数×Cに積まれた石の数
- 発動関与4マスのうち、BまたはCのマスに対するアクションによって初めて上記3つの発動条件が満たされた瞬間にのみ、キャトルミューティレーションは発動する
発動条件の詳細
発動条件1,2
- これらの条件は、簡単に言えば、キャトりたい石のあるコラールのマスに対しどのようにB,Cのマスを考えたらいいのかを規定している
- 図3を例に考える
- 赤い枠、オレンジの枠それぞれで発動条件1,2が満たされていることを示している
- キャトりたいコラールの石(赤AまたはオレンジA')に対し、それぞれBとCとD、B'とC'とD'によって正方形が形作られている
- DおよびD'については正方形の形成を支持するために便宜上設定されているもので、実用上は意味はない
発動条件3
- Aに積まれた石の数=Bに積まれた石の数×Cに積まれた石の数を満たせばよい
- 図4を例に考える(盤面は図3と共通)
- 赤の字で示した方は、4つ積まれたコラール内の黒の石に対し、キャトエリアの2マスに白の石が2個ずつ積まれていて、2×2=4であり発動条件3を満たしている
- オレンジの字で示した方は、5つ積まれたコラール内の白の石に対し、キャトエリアの2マスに白の石がそれぞれ1個、5個と積まれていて、1×5=5であり発動条件3を満たしている
発動条件4
- キャトりたい相手の石が置かれてから、キャトルミューティレーション発動条件1,2,3が自分のアクションによって初めて満たされたときキャトルミューティレーションが発動する
- キャトルミューティレーション発動条件1,2,3を満たすようにコラールの適切なマスに適切な数の石がプレイスまたはスタックされても、キャトルミューティレーションは発動しない
- 喩えて言えば、オセロで自分の石に挟まれるように置かれた相手の石が自動的に自分の色にならないのと同じである
発動後の石の移動
- キャトルミューティレーションが発動すると、そのキャトルミューティレーションに関与したコラールのマスAの石、キャトエリアのマスB,Cの石が全て取り除かれる
- このとき取り除かれた石の合計の数が偶数であるか奇数であるかによって分配の方法が異なる
- 奇数の場合:取り除かれた石の合計から1を引いた数が等分され各プレイヤーの在庫に戻され、余った1個はキャトったプレイヤーの持ち石となる(持ち石エリアに移動する)
- 偶数の場合:取り除かれた石は等分され、各プレイヤーの在庫に戻される
- 以上の規定に基づくと、キャトられたコラールのマスの石の数に応じたキャトルミューティレーション発動後の石の移動は以下の表のようになる
キャトエリアのマスの規定
- キャトエリアのマスにはコラールにあるような値は設定されていない
- キャトエリアのマスもコラールのマスと同様、積まれる石の合計の数の上限は5個である
アクションの条件
キャトエリアのマスに対するプレイス、スタックには以下の条件1,2があり、いずれかを満たすような置き方でなければ石を置くことができない
- 条件1:コラールの相手の石のあるマスに対し、あと一回のアクションでキャトルミューティレーションを発動できる(=既にキャトリーチがかかっている)場合、発動条件1,2,3を満たすようにプレイスまたはスタックする(=キャトルミューティレーションの発動)
- 条件2:コラールの相手の石のあるマスいずれかについて将来的なキャトルミューティレーションを想定し、発動条件1,2を満たすBかCのマスに、発動条件3を満たす数になるようにプレイスまたはスタックする(=キャトリーチをかける)。つまりキャトルミューティレーションのための布石とならないプレイスやスタックはできない
- たとえばゲーム開始直後の先攻のプレイヤーは、いきなりキャトエリアにアクションはできない(コラールに相手の石が無い=発動条件1を満たさないため)→図5
- コラールの相手の石のあるマスと少なくとも同じ列、行のキャトエリアのマスでなければアクションはできない(発動条件2を満たさないため)→図6
- 同じ列、行であっても、発動条件2の正方形を形作るもう一つのキャトエリアのマスが相手に取られている場合、そのマスにはアクションできない(発動条件2を満たさないため)→図7
- 発動条件1,2を満たすようなマスであっても、そのマスにある石の数が、キャトルミューティレーションの対象となる相手のマスにある石の数の約数のいずれかに等しい数になるようになるように置かねばならない(発動条件3の等式)→図8
補足
- ここまでプレイスの場合について具体的な盤面で説明したが、スタックでの考え方も同様であり、置いた後のマスの合計の石の数が相手のいずれかのマスについてのキャトリーチ、あるいはキャトルミューティレーションになっていれば、そのアクションは妥当である
- そのため、プレイスよりは低頻度だがスタックによるキャトルミューティレーション発動も起こりうる
- コラールの相手の石のあるマス1つに対するキャトリーチの回数に制限はない。キャトエリアに対するアクションの条件を満たしていれば、一つのマスに対し複数のキャトリーチをかけっぱなしにすることも可能であり、多数のキャトエリアへのプレイスは「コラールのどこに置かれてもいつでもキャトれるぞ」という抑止力になる
用語解説
ゲームルール上の簡易な定義に加え、牧場というテーマの上での小ネタも書いています。
- Pastoral Square(パストラル・スクエア)
- 本ゲームのタイトル。pastoralは「牧畜の、田舎の、のどかな」、squareは「四角、正方形、広場」
- オセロの緑色が牧草に見えたことから(そうなるとオセロの石の白黒は牛の模様に見える)
- 石
- よくあるオセロのセットにある、白と黒の面がある道具
- Pastoral Squareのプレイには、マグネット式であるかどうかは特に影響しない
- 白黒なので広義で牛(発音も近い)
- コラール
- 盤上の8×8のマスのうち中央4×4の領域のこと
- 中央に向かって2から3, 4と値が大きくなり、プレイスする際に必要な石の数に影響する
- corralは「家畜の入った囲い」の意。あまりに的確に表現された簡素な単語が存在することに感動し、choral(賛美歌)との混同の懸念を吹き飛ばして採用された
- プレイス
- place(設置する)の意
- 盤上の何もないマスに石を置くアクション
- コラールではマスに規定された値と同数なので2~4、キャトエリアではキャトルミューティレーション発動条件次第で1~5個の同時プレイスがある
- 手すさびに持ち石を握り込んでいる不届きな相手に「持ち石エリアに持ち石をプレイスしてください」と揶揄的に注意するときにも使える
- スタック
- stack(積み重ねる)の意
- 盤上の既に自分の石が置かれているマスに石を重ねるアクション
- コラール、キャトエリアとも1マスが同時に保持できる石の数の上限は5個であり、キャトエリアではアクション制限によって更なる制約がかかる
- スタックでキャトルミューティレーションを発動すると玄人感がある
- キャトルミューティレーション
- cattle mutilation、家畜が惨殺される怪奇現象の通称
- 本来は単に家畜が変死している現象を言う言葉だったが、メディアで流布される過程で「UFOが家畜を攫う」的な意味に変容した……らしい(「キャトルミューティレーション」で画像検索するとまさにそういった画像ばかりがヒットする)。本ゲームでは後者の意味で使っている
- ゲームでは、キャトエリアからのアプローチによってコラールの石が除去される現象のことを示している
- 本ゲームの中心的、目玉のコンテンツであり、色々な派生語でキャトルミューティレーションの周辺概念を説明している
- キャトエリア
- 盤上の8×8のマスのうち外周2マスから持ち石エリアを除いた32マスのこと
- コラールと異なり値は規定されていないが、同時に置かれる石の上限は5個で共通
- キャトリーチはアクションをするための条件が厳しいのであまり気軽に石が置かれるエリアではない……と思いきや、コラールでのゲーム運びに慎重になりすぎてキャトエリアに石が溢れてくる展開もままある
- 「キャトルミューティレーションを仕掛けるエリア」の略だが、結果的に字面が「牛エリア」みたいな感じになってしまい大事な部分が省かれた略語の典型になってしまった(牛エリアといったらコラールこそがそうである)
- 他の名称の候補には「カイパーベルト」「外縁」「オールトの雲」などのアイデアがあったが、どれも馴染み深いわけではなく、最終的にキャトルミューティレーションという単語そのものの強さを流用する形となった
- キャトる
- キャトエリアのマスへのプレイスまたはスタックによってキャトルミューティレーションを発動させること
- 位置関係、関与する石の個数、またタイミングなどが厳密に規定されており、慣れないと発動させるのが難しい
- 発動条件以外にも発動後の石の分配のルールや、また発動直後に相手はそのマスに即座にプレイスできないことなど、周辺で規定されていることも多いので注意
- 気付くと専ら「除去る」と言い換えられていることがあり、本ゲームの用語の中でも不憫
- キャトリーチ
- キャトルミューティレーションのための布石となるプレイスやスタックのこと
- 布石ではあるが、持ち石の都合上キャトリーチの次の手番にキャトれなくても構わないので、キャトリーチを「次の手番にキャトれるように置くこと」と言うことは厳密には妥当ではない
- 1個プレイスのキャトリーチを繰り返してコラールの自分の石がキャトられないようにキャトエリアを占有するのも戦略の一つである
- 在庫
- 盤の外にある各プレイヤーに32個ずつの石
- 手番ごとに基本的に2個持ち石に供給される
- ピックアップルール違反に在庫の数が関与するが、長期戦にならない限り考慮する必要はない
- 牧場モチーフの割に「在庫」という語をあてるのか?と思われるかもしれない。確かに持ち石に供給されるのだから「厩舎の牛」みたいな言葉をあてたかったのだが、よく考えるとキャトられた牛が厩舎に移動するのはおかしい、かといって宇宙に放逐されると盤上の石がどんどん少なくなっていき勝敗がつかなくなる……というところから、わかりやすさを重視して「在庫」とした
- 持ち石
- プレイヤーがアクションに使うことができる石、上限は5個
- 持ち石の上限が5個でピックアップの最大値が2個なので、持ち石が奇数個だと効率良く在庫から回収できてお得感があるが、長期戦になりピックアップルール違反による決着が見えてくると在庫の温存のために持ち石を多いまま保つ戦術が見られるようになる
- 持ち石エリア
- 持ち石を相手に見えるように置いておくエリア
- 相手の持ち石の数は自分のアクションを決断する際の重要な判断材料となるため、常にお互いに把握できる必要があり、そのために規定された
- 手順の項では利き手に最も近い領域と書いているが、相手に個数が把握できるように置けているなら必ずしも遵守しなければいけないわけではない
- 盤上64マスは計16マスのコラール、計32マスのキャトエリア、計16マスの持ち石エリアに分割されているといえる
- ピックアップ
- 手番開始時に在庫の石を持ち石に加える行動
- プレイヤーは1回の手番にピックアップとアクションを1回ずつ行う
- 持ち石の数によってピックアップしなければいけない個数が異なる(手順の項を参照)
- セーブ
- save(保存、確保、取っておく)
- 手番開始時にピックアップした石を含めた持ち石を温存するアクション
- アクションの一部であって、手番で実行可能なアクションの権利を放棄するわけではない点でいわゆる「パス」と異なる
- 持ち石の数が多いとプレイスできるマスが増えるなどアクションの選択肢が増えるため、序盤では探り合いでよくセーブが多用される
- 中盤以降の局面ではコラール内にビンゴのための布石が増えてくるので、安易にセーブしているとダブルリーチに対処できるタイミングを逃して呆気なく負けたりする
- ビンゴ
- 勝利条件の一つ。三目並べでの「一直線」という条件に加え、全てのマスにある石の数が等しいという条件が追加されている
- 全てのマスがコラールのマスである必要があることに注意
- 本ゲームにPastoral Squareという名前が付くよりも前、考案の最初期の原型においては、4×4の盤面で行う三目並べをどのようにゲームとして面白くするかを追及した結果、まず「積み重ねた石を置く」「マスごとに格差があり確保するための石の個数が異なる」という概念が導入され、そこからピックアップや持ち石の概念が導かれた(最初期のコラールの値2, 3, 4は現時点のそれとは全く異なる配置だった気がするが、ノートを紛失してしまった)。ちなみにキャトルミューティレーションはもっと後の発想である